シンクルトン記念館は、黒川油田を発展させるきっかけになったイギリス人医師
シンクルトンを記念して建てられたものです。明治6年にシンクルトンがこの地を
訪れ、木枠をはめた安全な井戸の掘り方を教えてくれたことから近代的な櫓式の
技術を得、大量の採油が可能になったそうです。明治24年から機械掘りになり、
昭和15年に本格的な開発となりましたが、昭和30年頃から外国からの石油輸入が
増加するとともに、1000年続いた油田は衰退していったそうです。
公園を入るとすぐに、記念館が見えてきます。古い建物です。この日は休館日
だったので、中を見ることはできませんでした。
臭水(くそうず)油坪跡に向かいます。
記念館への道を歩いて行くと、道脇に天然ガス湧出ポイントが見えてきました。
こんなところに、天然ガスが出ているの?それとも、ここも出ていた跡なのかな?
と思って、近づいてみました。
ガスの臭いはしません。
なぜ臭いがしないのか調べてみると、天然ガスは、メタンやエタン、プロパンなど
の化石燃料の一種で、それ自体は無臭なのだそうですね・・・。
それでは、何故、家のガスはにおいがするのでしょう?
ガスの臭いは、ガス漏れや火災の危険を知らせるために、「付臭」という方法で、
臭いをつけているそうです。疑問が一つ解決しました。
本当に天然ガスが出ているのか、不思議に思っていると、「ボコボコ」という音が
します。今でも天然ガスが出ているのですね・・・。火をつけて確認したい衝動に
かられますが、危険すぎるので、やめておきましょう。
記念館の脇を通って、臭水(くそうず)油坪跡に向かいます。
少し歩くと、池が見えてきました。
油が浮いたような黒っぽい池です。「臭水坪」というそうです。
橋や池の脇の木の根元、池に倒れている木などは、油で黒くなっています。
コールタールのような、きつい臭いがします。
今でも、油やガスが出ているようで、「シュッー」「ボコボコ」という音があち
こちでします。
この一帯の原油(黒川油田)は、最盛期の頃は、漁船の燃料や灯台の燃料、太平洋
戦争中は戦車の燃料となったそうです。
天智天皇(西暦668年)に燃える水として、献上されたとのことで、黒川油田は
日本最古の油田と言われています。
木に、カグマ(常緑のシダ類)の束がかかっています。
昔の採油法は、カグマを坪にひたして水面に浮いた臭水を採り、手でしごいて桶に
ためていく方法でした。
毎年7月には、古式にのっとり、カグマで採油された臭水(原油)が天智天皇を
(にいがた観光ナビより)
シンクルトン手掘り井戸を見に行きます。
中を覗いてみましたが、深くて暗くて良く見えません。撮影を試みましたが、
無理でした。
道を歩き進めると、あちこちに、臭水井戸の跡があります。
駐車場に出ました。
ここにも、原油が出ている場所があります。
この周辺は、あちこち、採掘をした場所があり、危険なので、山の中には入って
いかないように、注意看板がありました。
今でも、この周辺の家の床下や庭から、原油が出たりして、その処理にお金や時間
がかかり困っているという話も聞きます。
珍しいものが見れて、良かったのですが、困っている方々もいると知って、少し
複雑な思いがした、お散歩でした。